July 26, 2024

ワークショップと和紙と

ワークショップと和紙と 今日は国府町谷地区公民館でワークショップ。とても暑い日ですが、4名の子供を含めて12名の方々にご参加いただきました。全工程を説明してから実際の制作に入ってもらうと、皆さん集中して一心にカッティング。子供たちが注意がそれた時間もありましたが、とても素敵な作品を仕上げてくださいました。
 午後には和紙問屋さんへ…。ここにはたくさんのグラデーションやムラ染めの和紙が棚に並んでいます。私もアニーさんもかなり真剣に和紙を見て、購入するものを積み上げていきました。1時間後には和紙の山。当面必要な和紙は購入できたと思います。
 昨日に引き続き、とても濃厚な1日となりました。  

Posted by sengaart at 20:51Comments(0)

June 28, 2024

2024 皆既日食

 2024 皆既日食戸張 禮子 作 210×297mm
“Total Solar Eclipse 2024“ by Reiko Tobari

 工芸品や鯉など、様々な金色を描いた作品をご紹介してきましたが、私たちは光も「金色」として認識しています。神々の光のような抽象的なものから、朝日や夕日のように太陽が登ったり沈んだりする時も…。
 戸張さんは日食を取り上げました。確かに直接見ることができないほど強い光を持った太陽に目を向けるのは、日食を観察する時だけかも知れません。天体に興味のある方は、特別な眼鏡を使って天を見上げた経験があることでしょう。
 そんな風景を黒いラインと人々のシルエット、加えて見上げる人を1人だけ描いて、日食の日の雰囲気をうまく表現しています。もともと見えない光の強さを黒い太陽とゆらゆらとした曲線で伝えているのもユニーク。金色の一面を伝えてくれる楽しい作品だと思います。

(「金の輝き」出展作品  2024.6.12〜6.29 於:剪画アート&スペース
  
Posted by sengaart at 22:44Comments(0)

June 25, 2024

王冠

王冠岡田 桂子 作 254×120mm
“Crowns” by Keiko Okada

 古来から多くの財宝は金で作られてきました。王冠、宝剣、宝箱…。権力を手にした者は、黄金で装飾物や身の周りの実用品を作って、飾ったり活用したりします。そんな中から岡田さんは王冠と宝剣を描きました。
 それぞれを金の和紙で切り出した後、赤や青い宝石を散りばめます。そしてその後に様々な背景の紙の上に配置してみたのですが、明るい色の中に置くと金色が引き立たないのです。そこでベルベットを思わせる暗い赤とトルコ石を思わせる青のなかに配置。それで両方とも金色が引き立ち、王者にふさわしい威厳ある宝物になりました。
 合わせて額も作品に似合うようなクラッシックなものを使っています。全体のゴージャスな雰囲気をお楽しみいただければ幸いです。

(「金の輝き」出展作品  2024.6.12〜6.29 於:剪画アート&スペース)  
Posted by sengaart at 22:07Comments(0)

June 24, 2024

黄金の傷跡

黄金の傷跡カルチノワ ミロスラヴァ 作 212×330mm
“Golden Scar of a Healed Wound” by Miroslava Karchinova

 最近金継ぎに注目が集まっていますが、この技術は日本国内だけではなく、海外でも広く知られているようです。欠けた陶器を漆と金によって修復し、その傷までを美しいものとして愛でる美意識は日本独特のものかも知れません。
 この金継ぎを描いたのはブルガリアのカルチノワさん。金継ぎで修復された端正な壺を描き、質感のある紙を背景に使用。金継ぎが完成した形を表現しました。一方坂上さんの作品は金継ぎの作業中の状態を描いています。筆を持った手と2つの陶器。背景の白と金、そして黒が静かな作業を物語っているようです。
 どちらの金継ぎの作品も風情がありますので、ギャラリーで楽しんで下さい。

 (「金の輝き」出展作品  2024.6.12〜6.29 於:剪画アート&スペース)  
Posted by sengaart at 22:26Comments(0)

June 23, 2024

黄金の卵

黄金の卵吉川 結夢 作 240×175mm
“Golden Eggs” by Yuu Yoahikawa

 もう1つ、鳥を描いた作品をご紹介。…と言っても鳥が金色なのではなく、ガチョウが生む金色の卵を描いた作品です。イソップの物語で毎日金の卵を産むガチョウを、もっと多くの金を得ようと殺してしまう…というお話をご存知の方も多いでしょう。吉川さんはそのガチョウと金の卵を軽快なタッチで描いています。
 さらに羽のところを見ると、「幸」という文字が隠れているのがわかります。先まわりして欲をかかずに、日常にある小さな幸せを忘れずに大切にしてゆこう…という作者からのメッセージです。
 この作品をヨーロッパ風の額に入れたら、さらに品よく仕上がりました。ぜひギャラリーで額装された作品をご鑑賞ください。

(「金の輝き」出展作品  2024.6.12〜6.29 於:剪画アート&スペース)  
Posted by sengaart at 21:15Comments(0)

June 22, 2024

豊穣の孔雀

豊穣の孔雀ヴラホワ イヴァイラ 作 286×202mm
“Peacock of Abundance” by Ivayla Vlahova

 「金色」をテーマにした作品展では魚だけではなく鳥の作品も出展されました。そのうちの1点がこの「豊穣の孔雀」です。孔雀の羽は光沢があって金色を帯びて見えますし、その美しさと威厳ある姿から豊穣、豊かさを象徴するものでもあるのでしょう。
 その孔雀を写実的ではなく、独特のタッチで表現したのがこの作品です。孔雀の羽の模様や広がりを柔らかい曲線で描き、ピンク色の千代紙や金色の紙で彩色してあります。見る側の空想をかきたてる作品だと思います。
 他にも作品展では千葉さんがスラブの神話をイメージした「火の鳥」を出展しています。この鳥もゴージャスに描かれているので、ぜひ見比べて見てください。

(「金の輝き」出展作品  2024.6.12〜6.29 於:剪画アート&スペース)  
Posted by sengaart at 22:34Comments(0)

June 19, 2024

アイコンタクト

アイコンタクトアイコンタクト
まるぽ 作 150×210mm
“Eye Contact” by Marupo

 魚を真正面から眺めることはあまりないかもしれませんが…真正面からこちらを見つめる瞳。バッチリと目が合ってしまいます。
 魚の種類がわからなかったのでまるぽさんに聞いてみたら、「コンゴウフク」だとのこと。コンゴウフグは目とおしりのところに1対の棘があり、これらが「金剛杵」に似ていることからこの名前が付いたそうです。鮮やかな黄色なので、金色に見えるような気もします。が、体の色ではなく、金剛という名前自体が金色にゆかりがあるようですね。
 何となくユーモラスなこの表情。思わず口元がほころんでしまうお客様も…。背景に数色の青い和紙を使い、渦を通ってこの魚がこちらに向かってくるかのように見せているのも、うまい演出です。
 ぜひギャラリーでこのコンゴウフグくんと見つめ合ってみてくださいね。

(「温泉」出展作品  2024.5.13〜6.1 於:剪画アート&スペース)  
Posted by sengaart at 22:26Comments(0)

June 18, 2024

ともだち

ともだちトドロワ プロレチナ 288×202mm
“Friends” by Proletina Todorova

 鯱鉾は体の一部だけが魚ですが、金色の魚…と言えば、やはり鯉を思い出す方が多いでしょう。高価な錦鯉は、いやま世界中で人気が高く、日本にもたくさんの業者が買い付けに来ているそうです。この作品もブルガリアの作家さんによって制作されました。
 黒い紙を切り抜いて下から赤や金色の紙を入れて彩色していますが、黄色い紙を鱗状に切り抜いたところもあり、とても凝った作り。真っ青な背景が、赤や金色をさらに引き立てています。とても鮮やかで、美しい作品です。
 同じ鯉を描いていても、神田さんの作品は水草や睡蓮も描き、背面にはぼかしの水色を入れました。どちらもそれぞれに美しく、個性的なので、ぜひギャラリーで見比べて見てくださいね。

(「金の輝き」出展作品  2024.6.12〜6.29 於:剪画アート&スペース
  
Posted by sengaart at 22:07Comments(0)

June 17, 2024

護り

護り南舘 千晶 作 198×279mm
“Protection” by Chiaki Minamidate

 シャチは想像上の生き物で、頭は龍か虎、そして胴は魚の姿をしているそうです。シャチは火災が起きた時に口から水を出して火を消すという伝説があるため、城の天守閣や櫓の屋根の上に飾られるようになったとのこと。日本では多くの建物の上に載っていますが、やはり名古屋の金のシャチホコが一番有名でしょう。
 屋根の上で燦然と輝いている金のシャチホコは、もともとかなりデフォルメされたデザインですが、南舘さんは鱗や顔つきなど、さらに剪画用に描き直し、力強くユーモラスな作品に仕上げています。金色の髪は真正面から見るとあまりキラキラと見えないので、あえて皺の入った和紙を使って、質感と輝きを出しました。背景の村染めの黒もこの金色を引き立てています。
 まさに「金の輝き」展にふさわしい秀作です。

(「金の輝き」出展作品  2024.6.12〜6.29 於:剪画アート&スペース)  
Posted by sengaart at 20:54Comments(0)

June 13, 2024

神輿の鳳凰

神輿の鳳凰日野 晴美 作 272×242mm
“Mikoshi Ornament - Chinese Phoenix ” by Harumi Hino

 色紙サイズの作品で、お神輿の上に据えられている黄金の鳳凰が描かれています。日野さんはもう1点大きな作品を出展していて、その作品には御神輿全体と担ぎ手の一部も…。つまり、この鳳凰はその作品の一部なのです。
 一方は黒い輪郭の中に金色を入れて、お神輿の姿を明確に表現していますが、小さい方の作品では、輪郭も中身も少し光沢の違った2種類の金色を使用。そのため、鳳凰のそのものの姿にスポットが当たっています。一方がお祭りの雰囲気を描いた写実的な作品で、他方は黄金の鳳凰が少し抽象的な感じがしますね。
 金は確かにお祭りの華やかさを表現する色でもあります。額装した絵はもう一つ華やかに見えますので、ぜひギャラリーで直接鑑賞してみて下さい。

(「金の輝き」展  2024.6.12〜6.29 於:剪画アート&スペース)  
Posted by sengaart at 22:45Comments(0)

May 30, 2024

温泉

温泉梅崎 ゆう 作 242×272mm
“Onsen” by Yuu Umezaki

 前回ご紹介した作品と同じように同心円を描いて温泉を表現しているのが、この作品です。宮本さんが青い線を残して円を描いたのと反対に、梅崎さんは生成りの和紙をくり抜き、下に来い茶色の和紙を敷くことによって、円形を描き出しています。さらに青いパステルでぼかしを入れ、水面らしさを演出。写真ではわかりにくいのですが、左上には白い落水をちぎって上から張り合わせ、温泉の湯気を表現しました。
 梅崎さんの作品は、剪画らしいキリリとした感じではなく、柔らかい空気感のようなものを描き出し、見る側にリラックスした雰囲気を感じさせてくれます。技術を磨くだけではなく、感性を磨く…そんなところから生まれた作品だと思います。

(「温泉」出展作品  2024.5.13〜6.1 於:剪画アート&スペース)  
Posted by sengaart at 22:22Comments(0)

May 28, 2024

別府温泉坊主地獄

別府温泉坊主地獄宮本 真理 作 210×297mm
“Beppu Onsen's Bozu Jigoku (Monk's Hell)” bt Mari Miyamoto

 別府には様々な地獄と呼ばれる奇景があります。血の池地獄、海地獄、かまど地獄…そしてこの坊主地獄。灰色の重そうな泥水がボコボコと持ち上がる様子が、坊主頭のように見えるのでしょう。私が行ったのは鬼石坊主地獄の方ですが、現地には天然坊主地獄という場所もあるようです。
 宮本さんはそんな温泉の景色をデザイン的に処理し、青い輪郭線と白い落水紙を使ってまとめました。和紙の質感によって、波立つ泥の表面を描写。次々に湧き上がってくるこの場の熱気が何となく感じられる気がします。
 人が入る温泉ではなく、こうした風景をアレンジして描く…宮本さんらしいアプローチで、素敵な作品に仕上がっていると思います。

(「温泉」出展作品  2024.5.13〜6.1 於:剪画アート&スペース)  
Posted by sengaart at 21:52Comments(0)

May 25, 2024

いい湯だな

いい湯だな神田 いずみ 作 180×230mm
“What a Nice Bath!” by Izumi Kanda

 この作品展は兵庫県の新温泉町を始めとして鳥取の公民館で巡回展を開催する予定です。そのため、日野さんは歯科の温泉と新温泉町の足湯の作品を制作してくれましたが、神田さんか描いてくれたのは、鳥取砂丘で温泉に入っている動物たちの作品です。
 明るいオレンジ色の砂丘、その上空を滑走するパラグライダー。そんな風景の中でのどかにお湯に浸かるラクダとウサギさんたち…。共に鳥取のアイコンとして活躍している彼らもゆっくりと温泉に入って疲れを癒やし必要があるのかも知れません。ちょっと力が抜けたような動物たちの表情にも和みます。
 現実と空想の世界が交差した素敵な温泉の世界。リラックスして楽しんでくださいね。

(「温泉」出展作品  2024.5.13〜6.1 於:剪画アート&スペース)  
Posted by sengaart at 21:45Comments(0)

May 24, 2024

湯けむり

湯けむり高橋 隆 作 200×260mm
“Yukemuri - Hot Spring Steam” by Takashi Takahashi

 高橋さんはここ数年、和紙の作品の他に葉っぱを切り抜いた作品も作っています。この作品もその1枚。いつもは小さな人物や動物たちを配して絵柄を作っていますが、今回は入浴する女性の後ろ姿を描きました。水面の揺れや天井から落ちる雫が、温泉の雰囲気を演出。表現がシンプルなだけに、ゆったりと温泉に浸かる姿が印象的です。
 この女性、ふっくらとした首から背中の線にそこはかとない色気があります。同じ温泉を楽しむ女性を描いても、先日ご紹介した楽しそうな女性の姿とはちょっと雰囲気が違いますね。
 温泉を楽しむ姿も、温泉に抱くイメージも人それぞれ。作品を見比べながらご鑑賞いただければ幸いです。

(「温泉」出展作品  2024.5.13〜6.1 於:剪画アート&スペース)  
Posted by sengaart at 22:03Comments(0)

May 23, 2024

だいこんとごぼうとにんじん

だいこんとごぼうとにんじんRadish, Burdock and Carrot by Masae Aoyama
青山 政枝 作 242×272mm

 日本の昔話にあるお話だそうです。一緒にお風呂に入っただいこんとごぼうとにんじんが、なぜ白く、黒く、赤くなったかというお話を描いています。
 この絵を見ると厳密には温泉ではなくお風呂だと思うのですが、それにしても見ているだけで楽しくなるような絵柄です。背景に描かれた富士山と松、クラッシックな感じの湯船、木の桶と椅子…。そんな中に、ゴシゴシと体を洗うだいこんと、じっくりとお湯につかるにんじん、そしてサッサと引き上げていくごぼうの姿がユーモラスに描かれています。
 この絵を気に入って絵葉書をご購入くださる方も…。お風呂屋さんの様子がちょっと郷愁ををそそりますよね。見る者を童心に返らせてくれる素敵な作品です。

(「温泉」出展作品  2024.5.13〜6.1 於:剪画アート&スペース)  
Posted by sengaart at 21:56Comments(0)

May 13, 2024

温泉に入るニホンザル 2

温泉に入るニホンザル 2六郷 もと 作 275×420mm
“Snow Monkeys Enjoying Hot Spring II’ by Moto Rokugo

 温泉に入る動物…と言えば、もちろん長野の地獄谷野猿公苑のお猿さんたち。私は行ったことがないのですが、日本を訪れる外国人にも人気が高い観光地になっているとのこと。実際に猿たちが温泉に入るのは寒い時期だけなのだそうですが、温泉に気持ちよさそうに入る姿を見てみたいですね。
 六郷さんは申年の時も迫力のあるお猿さんを描いてくれましたが、今回も作品の中に表情豊かなお猿さんたちが登場。以前よりも毛の表現が繊細になり、表情が変化に富んでいて、彼らの生き生きとした生態が伝わってきます。顔や毛並みにもグラデーションの入った和紙を丁寧に配置し、絵全体に深みを与えています。
 この作品はもう一枚色違いのものが展示されています。ぜひ会場で見比べてくださいね。

(「温泉」出展作品  2024.5.13〜6.1 於:剪画アート&スペース http://bit.ly/hc8WTq)  
Posted by sengaart at 22:50Comments(0)

May 10, 2024

旅先にて

旅先にて外山 豊子 作 210×297mm
“At the Holiday Destination” by Toyoko Toyama

 「ひとり旅しています」と絵の右上に文字が入っています。ひとりでゆったりと足を温泉に浸している女性は、浴衣を着てくつろいでいる様子。日々忙しく過ごしている女性にとって憧れるシーンではないでしょうか?
 茶系の輪郭線を使い、ムラ染めの和紙をうまく組み合わせてシックな色合いを出しました。市松模様や花を組み合わせ、この女性が一人旅の中で楽しんでいる雰囲気を演出。そして周囲を囲む緑が、美しい自然を象徴しています。
 様々な要素が詰まっていながら、見る側の気持ちをほぐしてくれるような優しい作風。温泉に入った気分を味あわせてくれる作品です。

(「温泉」出展作品  2024.5.13〜6.1 於:剪画アート&スペース)  
Posted by sengaart at 23:06Comments(0)

May 09, 2024

大地からの癒しの届け物(鳥取・鹿野温泉)

240509日野 晴美 作 210×297mm
“The Gift of Healing from Mother Earth (Shikano Hot Spring, Tottori)” by Harumi Hino

 今回のテーマ「温泉」は作家さんたちにとってなかなか難しかったらしく、DMを作るべき時期にまだ作品が1つも搬入されていませんでした。日野さんに相談したところ、急ぎで鳥取の温泉を小さいサイズで描いてくれることになりました。彼女はすでに別の絵を作りかけていたのですが時間がかかりそうなので、DM用の作品を優先させてくれたのです。
 いかにも日本の温泉という感じのこの風景、黒い部分の配分を考えながら制作されています。木の葉の表現、水の様子、岩の感じ…。塗り絵のようになってしまわないよう、質感を出すようにそれぞれ線の描き方を変えているのです。さらに湯気は薄い雲竜紙を貼って表現。手前が少し重い感じになった分、背景の緑に明るめの和紙を使ってバランスを取りました。
 DMを飾るのにふさわしい、温泉情緒あふれる素敵な作品です。

(「温泉」出展作品  2024.5.13〜6.1 於:剪画アート&スペース)  
Posted by sengaart at 22:49Comments(0)

April 09, 2024

桜回想

桜回想小野寺 マヤノ 作 305×432mm
“Sakura Reminiscence” by Mayano Onodera

 先週で終わった「桜 –我が心のふるさと–」展に出展していた作品で、今日あたり鳥取の若桜に到着した頃だと思います。
 桜には「春の訪れ」という明るい印象と「散りゆく花」という寂しげな印象があります。今回の作品展でも、桜の作品はそれぞれどちらかの印象で描かれていました。私が描いたのは、移ろいゆく時とそれに思いを馳せる、少し陰に近いイメージの桜です。
 以前頂いた薄い紫がかった紙の色がとても気に入っていたのですが、桜の色よりも少し暗めに見えるので、この紙を使用するかどうか迷いました。が、追憶のイメージにはふさわしいような気がして、桜の花びらを切ることにしたのです。
 咲き誇っているだけではなく、時とともに移ろう桜、風に揺らぐ桜、その花びらの中に多くの人々の想いを抱える桜…。そんな流れや動きを桜に託した作品です。  
Posted by sengaart at 22:13Comments(0)

April 05, 2024

桜のトンネル

桜のトンネル梅崎 ゆう 作 242×272mm
“Cherry Blossom Tunnel” by Yuu Umezaki

 今回の作品展では、様々な桜の風景が描かれていますが、少し抽象的に風景を表現しているのがこの作品です。この作品にも作者のコメントが寄せられているのでご紹介します。
 「学生の頃住んでいた団地の近所の桜の木。桜のトンネルが続く、少し肌寒い道でした。 久しぶりにその道を通ると、今では切られてしまった桜のトンネルを鮮明に思い出します。」
 私はこの絵を見てイメージの中で制作したものだと思っていたのですが、梅崎さんは昔から撮り続けていた桜の樹の写真を一覧して、その中から選んだ写真を見ながら制作したのだそうです。この絵を見ていると暗い道の空気感まで感じられるのは、実際の風景に基づいているからでしょう。
 シンプルながら作者の体験が伝わってくる素敵な作品です。

(「桜 –我が心のふるさと–」出展作品  2024.3.13〜4.6 於:剪画アート&スペース
  
Posted by sengaart at 23:24Comments(0)

April 03, 2024

春の幕開け

春の幕開けまるぽ 作 420×297mm
“First Signs of Spring” by Marupo

 メジロはその細いクチバシで桜の蜜を器用に吸い、花を落とすことはないそうですが、雀は花の根元から加えて、花の甘い部分をついばむそうです。この絵の中でも、上にいる雀は桜の花をしっかりと口に加えています。桜の花を萼の部分から落としてしまうのは、この雀たちだったのですね。
 桜の中心の花粉の部分は、剪画で桜を描く時に悩む部分なのですが、まるぽさんは、濃いピンクの和紙を使うことで表現しました。花びらの色も2色も明るめの色を使い分け、全体に華やかな仕上がりとなっています。また雀のお腹の部分はナチュラルな風合いの和紙を使い、ふっくらとした羽の感じを出しました。
 この作品は2枚のアクリルに挟まって額に収まっています。壁に少し影が落ちて、少し浮遊感のある仕上がり。この作品にはピッタリですね。春の躍動と息吹を感じる魅力的な作品です。

(「桜 –我が心のふるさと–」出展作品  2024.3.13〜4.6 於:剪画アート&スペース)  
Posted by sengaart at 22:21Comments(0)

April 01, 2024

メジロの夢

メジロの夢トドロワ プロレチナ作 282×205mm
“Dream of a White-Eyed Warbler” by Proletina Todorova

 この作品もブルガリアから送られてきた作品です。桜とメジロは昔から多く描かれている画題です。桜のピンクとメジロの黄緑色が美しいということもあるのですが、密を好むメジロが、春になって咲き始める桜に集まる…ということが多いこともあるのでしょう。
 咲き誇る桜と背後の網代のような模様、すっきりとしたメジロの佇まい…とても日本的な素材ですが、それぞれが少しずつ伝統的な雰囲気と違って斬新に感じます。日本人が考えている日本の文化と、国外から見た文化…さらに時代と共に変わっていく視点…そういったものが少しずつ作用して、日本的な絵柄に別の魅力を加えています。
 そうした背景を持ちながら、品よくまとまっているメジロと桜の風景。あなたはこの絵にどんな魅力を発見するでしょうか?

(「桜 –我が心のふるさと–」出展作品  2024.3.13〜4.6 於:剪画アート&スペース)  
Posted by sengaart at 22:06Comments(0)

March 29, 2024

私の思い出“桜”島

私の思い出“桜”島吉川 結夢 作 285×198mm
“Sakura-jima Island in My Memory” by Yuu Yoahikawa

 吉川さんはカルチャー教室に通ってくださっている一番若い生徒さんです。今まで描いた下絵をスキャンしてコンピューターの中で編集した作家さんたちはいらしたのですが、タブレットの中で下絵を描いたのは、ギャラリーの出展作家さんの中では初めてだと思います。時代を感じますね〜。
 シンプルな絵柄ながら、しっかりとした強い線で輪郭を描写。微妙な水色や青、グレーなどの色の違いを使い分けて、春の桜島と波の様子を表現しました。さり気なく波に映っている山の様子や、控えめに浮かべた桜の花びらもバランスがよく画面に収まっています。
 吉川さんにとって、この桜島は以前住んでいた場所で思い入れがあるとのこと。そんな思いも伝わってきます。見ている側をのんびりとした春を楽しませてくれるステキな作品だと思います。

(「桜 –我が心のふるさと–」出展作品  2024.3.13〜4.6 於:剪画アート&スペース)  
Posted by sengaart at 22:47Comments(0)

March 28, 2024

桜の風景

桜の風景ヴラホワ イヴァイラ 作 295×205mm
“A Sakura view” by Ivayla Vlahova

 今回の作品展では様々な桜の絵が並び、それぞれ個性的に描かれていますが、中でも一風変わった絵柄なのが、ブルガリアの作家によるこの作品です。
 真ん中にあるのは目でしょうか?周囲にはまつげや視神経のようなものも見られます。その目を囲むようにして咲き誇っているのが美しい桜です。絵の中には千代紙も使われていて日本的な雰囲気もあるのですが、全体にはもっとエキゾチック。桜のピンクと淡い千代紙の色を黒い部分がきりりと引き締めています。
 ゴージャスに咲き誇る桜と、こちらを見据える視線。心の中の風景のようにも見え、何とも不思議な魅力のある作品です。 ゴージャスに咲き誇る桜と、こちらを見据える視線。心の中の風景のようにも見え、何とも不思議な魅力のある作品です。ぜひオリジナルの作品を見ていただきたいと思っています。

(「桜 –我が心のふるさと–」出展作品  2024.3.13〜4.6 於:剪画アート&スペース)  
Posted by sengaart at 22:42Comments(0)

March 27, 2024

春の河

春の河神田 いずみ 作 320×225mm
“Spring River” by Izumi Kanda

 剪画というよりは貼り絵のようにも見える作品です。ピンク色の薄い和紙は下の色を透かします。そのため、神田さんはこの紙の下に、光が射しているような白い和紙を置いたり、水の動きが見えるように青い和紙に切れ目を入れて配置したり、魚を泳がしたり…と様々なしかけをほどこしました。重ねた紙の効果を何度も試しながら貼り合わせていき、使わなかったパーツもかなりあるそうです。
 春霞のようなぼかしが入った川面に、濃淡の違った桜の花びらが浮かんでいる様子はとても幻想的。この絵の前で立ち止まって、しばらく見入っている方もいらっしゃいます。うららかな春の日を描いた秀作です。

(「桜 –我が心のふるさと–」出展作品  2024.3.13〜4.6 於:剪画アート&スペース)  
Posted by sengaart at 21:19Comments(0)