November 27, 2020

クリスマスローズ

クリスマスローズnori 作 148×210mm

 いつも可愛らしい猫を主役に剪画を制作しているnoriさんの作品です。斜め上の遠方を眺めているかような猫さん。この姿勢や目つきは、猫を飼ったことがある方なら、「この感じ…!」と思うのではないでしょうか。猫が身近にいる方ならではの観察眼です。
 猫とクリスマスローズを中心に配置し、柊や雪の決勝などクリスマスらしいモチーフをアレンジしてあります。加えて「雪の輪」や「網代」など輪の文様も取り入れてnoriさんらしい画面に仕上げました。
 色彩はいかにもクリスマスカラーという赤と緑をさけて、ちょっと渋めに…。辛子色の猫や渋めのピンクなどの組み合わせに独特のセンスが感じられます。
 品が良く美しいクリスマス作品です。

(「干支2021丑+縁起物+クリスマス」出展作品 2020. 11.18〜12.12 於:剪画アート&スペース)  

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November 26, 2020

あなたのためのプレゼント

あなたのためのプレゼント仲嶋 あい 作 242×272mm

 毎年年末に開催される「干支と縁起物」展ですが、今年はさらにクリスマスをテーマに加えました。若い作家さんたちはクリスマスの方が描きやすいのか、たくさんの作品を寄せてくださっています。
 この中嶋さんの作品もその1つ。実際には「クランプスのブラックリスト」「ホワイトスノーホリデー」と共に3枚の作品がセットになっています。この「あなたのためのプレゼント」は、3枚の中で一番クリスマスらしいカラーとキャラクター。サンタの衣装を来た女の子が楽しげにプレゼントのboxを差し出してくれています。きらめく箱の中には何が入っているのでしょうか?訪れた方が楽しくなってしまうような絵柄です。
 鮮やかな赤と共に3種類の渋めの緑色を使って全体を引き締めました。背景に少しシワの入った和紙を使っているのも素材感が出て良い感じです。渋めの色と共に使った白いフワフワがとても効果的に見えます。
 こんな時こそ家の中で明るく楽しいクリスマス。可愛らしいサンタさんがプレゼントを運んで来てくれるかも知れません。

(「干支2021丑+縁起物+クリスマス」出展作品 2020. 11.18〜12.12 於:剪画アート&スペース)  
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November 24, 2020

寿―KOTOHOGI― 『丑』

寿―KOTOHOGI― 『丑』南舘 千晶 作 405×275mm

 新年を寿ぐ作品を続けてもう1点ご紹介します。その名も「寿―KOTOHOGI― 」。千両箱を背負った牛の絵柄です。
 明るい朱色の和紙に金色を散らし、それをカッティングしました。しめ縄でしっかりと千両箱をくくりつけている牛さんは、確かに多くの富を運んでくれそう…。質実剛健な牛の姿は、それだけでは少し無粋になってしまうので、足元におめでたさを象徴する松竹梅をあしらっています。この組み合わせで、さらに華やかで福々しい絵柄となりました。
 背景は耳付きの熱い和紙で、素朴な紙の端を見えるように額装してあります。お正月を飾るのにふさわしい日本的でおめでたい作品です。

(「干支2021丑+縁起物+クリスマス」出展作品 2020. 11.18〜12.12 於:剪画アート&スペース)  
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November 23, 2020

福徳円満

福徳円満 I日野 晴美 作 420×297mm

 お正月の飾りであるしめ縄、水引に新年らしい花々を組み合わせて牛の置物を華やかに演出しています。全体に明るく鮮やかな色合いで彩っているだけでなく、中に白い牛の置物を配置して、清々しさも出しました。新年を寿ぐのにふさわしい作品だと思います。
 今年は世界中が大変な年となりましたが、日野さんがこの作品に寄せたコメントが、来年への明るいメッセージとなっていますので、そのまま引用させていただきます。
 「丑年は農地を耕やす牛にちなんで、急がず先を見据えて一歩一歩着実に事を行い、結果につながるように基礎を固める年だとか。牛は神の使いともいわれるそうなので、地道に頑張る姿を神に報告しているかも。
また、丑の文字は象形文字で手の先を曲げて掴む形を描いたもので、すぼめて引き締めるという意味をを含んでいるそうです。結ぶ・絡める・つかむ・取り込む、などの意味を持った文字です。」
 2021年が良き年となりますように。

(「干支2021丑+縁起物+クリスマス」出展作品 2020. 11.18〜12.12 於:剪画アート&スペース)  
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October 29, 2020

お茶とクッキーの時間

お茶とクッキーの時間ヒリストワ リディヤ 作 200×285mm

 ナチュラリストのリディアは、できる限り新しい紙を使うのではなく、使い古した紙や古い雑誌を用いて作品を制作するそうです。今回出展してくれた3点の作品は、どれもリサイクルした紙をうまく組み合わせて美しい作品を作り上げています。
 中でもこの「お茶のクッキーの時間」は、カッティングに使った茶色に小さなドットの入った紙と、背景の黄色がテーマにマッチしてとても良い色合い。手前にあるチョコチップクッキーもこの紙の色にぴったりです。ティーポットやカップ、ミルクポットなどのの形も可愛らしく、心弾むお茶時間の雰囲気が伝わってきます。
 陰と陽のバランスは剪画にとってとても重要な要素ですが、この作品でも切りぬく部分と残す部分の切り分けが絶妙で、画面全体に安定感をもたらしました。素材の紙の色合いとカッティングならではの陰影が生み出した素敵な作品だと思います。

(「Tea Time」出展作品 2020. 10.14〜10.31 於:剪画アート&スペース)  
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October 28, 2020

私の至福の時

私の至福の時戸張 禮子 作 210×285mm

 作者である戸張さんにとっての大切なお茶時間は、ティーポットで入れた紅茶を飲みながら、ひとり読書にふける時間だそうです。絵の背景とほんの上に描かれている人物推理小説の内容であるロンドン塔と探偵。彼女が没入している世界が描かれています。お茶時間の風景だけを描くのではなく、その時の作者の内面が表現されているのが、とても面白いと思います。
 輪郭にムラ染の和紙を使っていて茶色や青い色味がところどころに出ているのが幻想的で、かつ画面全体に深みを与えました。背景が少し暗めな青であることも、この絵の世界観にマッチ。全体にミステリアスな雰囲気が漂っています。
 自分ならではの世界を画面に表現できる…それは絵の巧緻よりも描き手にとって大切なことだと思います。

(「Tea Time」出展作品 2020. 10.14〜10.31 於:剪画アート&スペース)  
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October 26, 2020

にがみと甘みの織りなす味 / ブルーミングティ

にがみと甘みの織りなす味 / ブルーミングティカロフ プラメン作 200×287mm

 このブルガリアの作家さんの作品は、2枚ご紹介したいと思います。コメントが届いていないので、作者がどういった状況でこの2枚を描いてくれたのかがわからないのですが、多分1枚は煎茶と和菓子、そしてもう1枚は日本で工芸茶と呼ばれるブルーミングティだと思います。工芸茶は中国の緑茶ベース花を包み込み、お湯を注ぐと花が開く、美しく、香り高いお茶です。
 どちらの作品も必要最低限のものが描かれていて、それだけに見る側がこれらのお茶そのものにフォーカスできます。絵柄はシンプルですが、和菓子の表面やお茶碗に使用している紙には、絵の具でテクスチャーを付けて表情を演出。絵に深みを出しました。
 たくさんの同じテーマの絵が並ぶからこそ、そこに静かに飾られているこの2点の作品は存在感を出しています。ぜひ実作品をご覧いただきたい作品です。

(「Tea Time」出展作品 2020. 10.14〜10.31 於:剪画アート&スペース)  
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October 24, 2020

あまーい匂い

201024坂上 裕子 作 182×257mm

 お茶時間をテーマにした今回の作品展では、特徴的な形のためかティーポットが絵の中に入っている方が多いです。そんな中、ティーポットもカップも、そしてお茶さえ描かれていないのがこの作品です。
 ポップで可愛らしい3つのケーキ…そしてそれを狙っているのは小さな蟻たち。そう、お茶を楽しむ人にとって、欠かせないのがやはり甘いスイーツです。この作品は、お茶そのものを描くかわりに、お茶時間の楽しみであるケーキとそれを狙っている蟻を描きました。ケーキのピンクやライトグリーン、そして白いクリーム…そんな色彩もポップで楽しげです。しかもこの作品のタイトルは、見る側の視覚だけでなく、嗅覚にも訴えています。タイトルを聞いて心誘われる甘い匂いを思い浮かべた方も多いのではないでしょうか?
 見る側にお茶時間の喜びを想像させてくれる、魅力的な作品です。

(「Tea Time」出展作品 2020. 10.14〜10.31 於:剪画アート&スペース)  
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October 23, 2020

頂上へ向かう前にひとやすみ

頂上へ向かう前にひとやすみイリエバ マルタ 作 195×275mm

 この作品もブルガリアの作家さんの作品です。遠くに望む山々。手前に置かれているカップには、どうやらハーブティが入っているようです。この絵については作者のコメントを記載したいと思います。
 「お茶を最高に楽しむ方法…それは山で美しい景色を眺めながら飲むことです。この作品ではブルガリアで最も飲まれているハーブティを表現しています。通常は私たちの山で育ったタイム、ミント、ムルサルスキーを使って淹れます。」
 ブルガリアでは、紅茶よりもハーブティがポピュラーだとのこと。中でもムルサルスキーと呼ばれるハーブはブルガリア独特の高山植物だそうです。
 シンプルで明るい色彩の緑の中に温かいハーブティを入れたカップ。作者の生活の一部を伺うことができる素敵な作品です。

(「Tea Time」出展作品 2020. 10.14〜10.31 於:剪画アート&スペース)  
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October 21, 2020

ひととき

ひととき外山 豊子 作 210×297mm

 今回の作品展、紅茶の絵を描いたのは、皆女性作家。男性作家は煎茶・抹茶など日本茶を描いています。もちろん紅茶好きの男性もたくさんいらっしゃるとは思うのですが、女性の方が紅茶から発想するイメージがより身近にあって、描きやすいのかも知れません。
 そのなかでも、とてもオシャレに紅茶を楽しむ様子を描いたのがこの作品です。ティーカップ、スイーツ、ティーポット、そして女性。描かれているものはそれぞれシンプルなのですが、色使いやちょっとした模様が良い感じにお茶時間の彩りを表現しています。
 和紙の質感や渋い色合いをところどころ使っているので、全体が平板にならず、剪画ならではの仕上がりとなりました。紅茶の湯気やポットの中の液体の色などは、作者ならではの独特な雰囲気を演出しています。
 見ているだけで、ゆっくりとしたお茶時間を楽しみたくなる…そんな素敵な作品です。

(「Tea Time」出展作品 2020. 10.14〜10.31 於:剪画アート&スペース)  
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October 20, 2020

愉みな時間

愉みな時間日野 晴美 作 297×420mm

 テーブルの上に紅茶のポットとカップ。周囲にはカモミールなど香りに使われるハーブが配されていて、優雅なティータイムがこれから行われる予感がします。
 日野さんはこの作品を色違いで2枚制作。1枚はくっきりとした黒のアウトラインに薄い彩色を施し、背後に和紙の風合いを生かした生成りの紙を配しました。しっとりとおちついた色合いです。もう一方は緑のアウトラインに、ピンクやオレンジの華やかな色を飛ばした背景。華やかで楽しげな様子を描きました。しかも赤いマットを使って額装されているので、ギャラリーで見て頂く時は、さらに鮮やかで、絵本の中から飛び出してきたようなストーリー性も感じることと思います。
 2作を比べてご覧いただけば、配色によって表現する時間も違って見えるのがわかります。いずれにしても楽しいティタイム。その優雅な雰囲気を表現した作品です。

(「Tea Time」出展作品 2020. 10.14〜10.31 於:剪画アート&スペース
  
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October 16, 2020

一杯のトルコティ

一杯のトルコティAni Ivanova 作 205×290mm

 ブルガリアから送られてきたアニーの作品です。このティーカップはブルガリアのものではなくトルコのもの。ブルガリアではお茶を様々な形で飲み、隣国のトルコ式の紅茶も楽しむそうです。
 黒い地色の上に置かれた白い受け皿。その上には華やかな金の飾りのついた取っ手付きの素敵なグラスが乗っています。そこに満たされた紅茶の深い色。ゆらゆらと立ち上る湯気の形もすっきりと美しく描かれています。グラスに入れた光の反射の部分がとても効果的で、ガラスの質感をうまく表現。色数を抑えつつ、白い色を効果的に活用しているところに作者の手腕を感じました。
 この作品と共に展示されている彼女のもう一点の方の作品は、華やかなトルコティのグラスと共にいっしょに食べるお菓子(ラクム)が描かれています。その器もとても素敵なので、是非合わせてご鑑賞下さい。

(「Tea Time」展 2020. 10.14〜10.31 於:剪画アート&スペース)  
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September 10, 2020

風がウルルの物語をランタンに伝える

風がウルルの物語をランタンに伝える"The wind tells the story of Uluru to the lanterns"
Lidiya Hristova 作 210×300mm

 リディアさんが寄せてくれたコメントによると、彼女はナチュラリストで、リサイクル紙や古紙、古いマガジンなどを活用して作品を作り続けているそうです。
 今回の作品では、背景にアボリジアニの聖地であるウルルの写真を掲載したページを使っています。紫色の紙で切り抜いたのはたくさんのランタン。どのランタンも変化に富んでいて、とても可愛らしい形をしています。薄い紫色の紙がコントラストの強い風景と上手くマッチして不思議な雰囲気を演出。風がランタンに物語を伝えている…とてもロマンチックなシーンにピッタリの色合いです。
 古い紙という素材を十分に使いこなして描く新しい世界。これからの活躍がとても楽しみな作家さんです。

(「風 - Wind -」出展作品 2020. 8.26〜9.12 於:剪画アート&スペース)  
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September 09, 2020

柳に風

200909南舘 千晶 作 280×410mm

 ギャラリーを訪れる常連のお客様から何度か聞いた言葉。「あれ、これ南舘さんの作品ですか?」
 いつもは洋風のデザイン多い南舘さんですが、今回の作品は日本的な作風。しかもモノトーンです。生成りの耳付きの和紙は鳥取の佐治から取り寄せたとのこと。ボコボコとした風合いが、茶色のラインにピッタリで、柔らかく優しい雰囲気を演出しています。単色で舞妓さんの着物には色が入っていないのに、とても華やかに見えます。
 強く吹き付ける風も、優しくそよぐ風も、柳はしなやかに受け流してかわします。そんな穏やかさと秘めた強さを日本女性の中に見出しているのでしょう。シンプルに見えますが、含蓄のある奥深い作品だと思います。

(「風 - Wind -」出展作品 2020. 8.26〜9.12 於:剪画アート&スペース)  
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September 07, 2020

たくさんの風が記憶を呼び戻す…

たくさんの風が記憶を呼び戻す…"So Many Memories the Wind releases…"
Ani Ivanova 作 300×210mm

 今回出展しているブルガリアの作家さんたちをまとめて送ってきてくれているアニー。彼女には昨年の9月に私が ブルガリアを訪れた時に初めてお目にかかりました。古都プロブディフでの剪画ワークショップを手伝ってくれたのが彼女です。
 アニーはブルガリアとポーランドで切り絵を教えているリナの生徒さんで、彼女自身も多くの作品を制作しています。そのほとんどが日本のデザインからの引用であるらしいのですが、今回オリジナルの作品を制作して送ってくれました。
 アニーは美術史を専攻していたとのことで、アニメ関係の仕事をしていたそうです。この作品にも日本のアニメの影響が見て取れます。輪郭の黒いラインは繊細で切れがよく、美しくカットされています。また、先日テレビの撮影で日本を訪れた時に大量に購入した和紙を彩色に使用していて、こちらも作風にマッチ。細部まで丁寧に作られた作品は、とても完成度が高いものです。
 これからどのような作品を送ってくれるのか楽しみにしながら、彼女と連絡を取り合っています。これからの彼女たちの活躍にご期待下さい。

(「風 - Wind -」出展作品 2020. 8.26〜9.12 於:剪画アート&スペース)  
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September 03, 2020

風のセレナーデ

風のセレナーデ大内 美佐子 作 268×407mm

 風のセレナーデを弾いているのは少年でしょうか?傍らにそれを聞く人の姿、そこから広がる音の波が描かれ、ロマンチックなストーリーを感じさせてくれます。
 本当に繊細な細い細い線を切り出している作品です。音や空気感を表す円のライン、花の中心部のディティール、あちらこちらに散りばめられた光のきらめきや音符…。どのパーツも細かく、作業するのには最新の注意が必要だったことでしょう。
 また、細い線の背後には薄い和紙を丁寧に張り込んであります。半透明の和紙なので、全体の色合いがデリケートで、とても優しい風合い。さらに小さな部分には黄色や白、赤などの明るい色もはめ込まれて、青系の色味にアクセントを与えています。
 美しい作品ですが、あまりに繊細なのでごく近くでこの絵を見ないとこれらの小さな部分はわかりにくいと思います。是非実物をギャラリーでご覧下さい。

(「風 - Wind -」出展作品 2020. 8.26〜9.12 於:剪画アート&スペース)  
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September 01, 2020

ひまわり畑に風が吹くー2020

ひまわり畑に風が吹くー2020六郷 もと 作 280×420mm

 太陽に向かって咲くひまわりの花々。その中に佇む女性は風にあおられながら、何を思うのでしょうか。
 六郷さんはいつも女性の姿を描いていて、通常はこちらに視線を向けています。その時の神秘的な表情に特徴があるのですが、今回は斜め向こうを向き、その視線を確かめることができません。それでも彼女の描く独特な世界には共通の雰囲気があります。
 ひまわりは詳細に描かれていて、花びらにもグラデーションの和紙がバランス良くはめ込まれています。こうした丁寧な作業が、色鮮やかで華やいだ世界を演出しているのではないでしょうか。空の色合いも、複雑で躍動的。グラデーションの入った雲龍紙を組み合わせることによって空気の流れを表現しました。
 美しく、季節感あふれる魅力的な作品です。

(「風 - Wind -」出展作品 2020. 8.26〜9.12 於:剪画アート&スペース)  
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August 27, 2020

アンダルシアの風車

アンダルシアの風車高橋 隆 作 272×386mm

 現在は海外に旅行もできない状況が続いていますが、高橋さんは数年前にスペインを旅行されたそうです。「風」というテーマを聞いて思い浮かべたのが旅先で見たアンダルシアの風車だとのこと。強い太陽の下、濃い影を落としている風車が風を受けて回っている様子が目に見えるようです。
 風車の部分をカットした後、様々な和紙の上に置いて色の調子を見ながら背景を決めました。薄い水色だと優しい感じ、真っ青な空だと力強さは出るものの空気の動きが見えず…この白い雲が入ったグラデーションの和紙の上に斜めに置いた時、この風車の背景に風が吹いているのを実感できました。
 キリッとした美しい色合い。強い日差しと流れる風を感じさせてくれる作品です。

(「風 - Wind -」出展作品 2020. 8.26〜9.12 於:剪画アート&スペース)  
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July 02, 2020

あの頂きへ…一歩一歩

あの頂きへ…一歩一歩戸張 禮子 作 210×297mm

 「山は呼んでいる」展では、山の風景と共に花々は人が描かれていることが多いのですが、この作品では登山している人の足と靴が描かれています。人そのものを描くというよりも、山を登るという体験を表現しているのです。それは他ならぬ描き手自身の体験、思い出からくるものではないでしょうか。
 足元にあるのは岩だけでなく、そこにわずかに映えている緑。色合いの美しさもありますが、山を登っている時にた生き生きとした緑を見た印象がそのまま描かれているのだと思います。
 背景の青が少し濃すぎたので、山の清々しい空気が重めに見えてしまいます。これはコロナ禍で外出できない中、手元にある和紙を駆使して作ったためです。その結果、現実感よりも、心の中の風景という感じを演出することになりました。
 作り手の実感が伝わってくる作品です。

(「山は呼んでいる」出展作品 2020. 6.17〜7.4 於:剪画アート&スペース)  
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June 29, 2020

やまびこ

やまびこ佐藤 健二 作 242×272mm

 いつもタヌキさんをキャラクターに作品を展開して下さっている佐藤さんの作品です。描かれた情景はとてもシンプル。青い空の下、斜面に立ったタヌキさんたちがもう一方の山に呼びかけています。一匹はヤッホーと声を上げ、一匹は深呼吸をしているのでしょうか?どちらも晴れ晴れとした表情をしていて、返ってくるやまびこの声がこちらまで聞こえてくるようです。
 作品を作る時、テーマからどんなものを描くかを考える…それは作家の出発点でもあります。自分の心に響くものを、まずダイレクトに描くのはとても大切なことではないでしょうか?佐藤さんの作品を見ていると、そうした描くことの原点を思い出します。
 青い空が似合うスッキリとした作品だと思います。

(「山は呼んでいる」出展作品 2020. 6.17〜7.4 於:剪画アート&スペース)  
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June 28, 2020

りんどう(悲しんでいるあなたを愛する)

りんどう(悲しんでいるあなたを愛する)六郷 もと 作 285×430mm

 シリーズで2点制作された作品です。女性と花々の構図は左右対象な形。そして空は水色と紫色と違った色合いに彩色されています。
 描いたのは高山植物のミヤマリンドウとタテヤマリンドウ。六郷さんは、まだ山で本物を見たことはないのだそうです。また、この絵の山々は、どこかの山を描いたものではなく創作した風景だとのこと。この絵全体が、山に対するイメージを膨らませた作品だと言えるでしょう。
 咲き誇る花々、遠くまで連なる山々、そしてその中に佇む女性…。この作品のタイトルはリンドウの花言葉だそうですが、作者のこの絵に込めたメッセージでもあるのではないでしょうか。詩情あふれる、色鮮やかで美しい作品です。

(「山は呼んでいる」出展作品 2020. 6.17〜7.4 於:剪画アート&スペース
  
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June 26, 2020

頂上を目指して

頂上を目指して結城 公子 作 242×272mm

 色紙サイズのそう大きくない作品です。中央には急な角度の大きな山。形はあくまでもシンプルです。この山の彩色には深い緑に赤系の色が混じったムラ染の和紙が使われ、全体にニュアンスを与えています。そして山の手前にあるのは1輪の花。少し斜めに茎を伸ばし、赤い花びらが下に向いて開いていて、しおらしい感じです。
 この大きな山と小さな花が良い対比となって、シンプルな作品にストーリーを与えています。「頂上を目指して」というタイトルも、結城さんの気持ちを表現しているのではないでしょうか。それが伝わってきて、見る側を心を引き立ててくれる作品となりました。

(「山は呼んでいる」出展作品 2020. 6.17〜7.4 於:剪画アート&スペース)  
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June 22, 2020

遥かな尾瀬〜至仏山の夜明け〜

遥かな尾瀬〜至仏山の夜明け〜菅谷 順啓 作 220×115mm

 ♪遥かな尾瀬〜遠い空〜♪…誰もが知っている歌の歌詞。尾瀬と聞いた時にこの歌を思い出す人も多いのではないでしょうか。そんな風景をシンプルかつ美しく表現した作品です。
 菅谷さんはモノトーンの作品を多く制作しています。この作品も白と黒の2色で山と水芭蕉の花を的確に表現。空と水辺は網ブラシによって変化を付け、絵の中に柔らかいニュアンスを生み出しています。
 多くを表現しすぎない絵は、かえって人々の心の中に想像の空間を生み出します。尾瀬を歩いたことがある人はその思い出を、一度も行ったことがない人はその憧れを…。この絵を見て、それぞれの尾瀬を思い描くのではないかと思います。是非あなた自身の尾瀬を思い浮かべてみて下さい。

(「山は呼んでいる」出展作品 2020. 6.17〜7.4 於:剪画アート&スペース)  
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June 21, 2020

鷲峰山

鷲峰山日野 晴美 作 415×290mm

 日野さんは今回鷲峰山の作品を2点出展して下さっています。1点はカラーの作品でもう1点はほぼモノトーンの作品。どちらもほとんど同じ構図ですが、カラーの作品の方にだけ上空に鷲の姿が浮かび上がっています。
 彼女は葛飾区で生まれ、育っているので山…と聞いた時に特別な印象がなかったのだそうです。そのため数年前にいっしょに訪れた時に見た鷲峰山を描くことに決めたとのこと。鳥取で和紙の里、青谷を訪れた帰りに見た鷲峰山です。鷲が翼を広げた形…と聞いた説明が日野さんの心の中に残っていたのでしょう。
 カラーの作品は大空の鷹の姿が印象的ですが、モノトーンの作品もキリリとした感じで剪画らしい作品になっています。背景に落水和紙を使って質感を出したの良い配慮です。2点とも日野さんらしい優しい風合いの作品に仕上がりました。

(「山は呼んでいる」出展作品 2020. 6.17〜7.4 於:剪画アート&スペース)  
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June 19, 2020

雷鳥の里

雷鳥の里神田 いずみ 作 245×330mm

 山をテーマにした時、各作家が思い浮かべるイメージはそれぞれに違います。神田さんは富山県の滑川市出身なので、毎日立山を見ていたのでしょう。その実感を持って描かれているので、この絵にはとても存在感があります。
 「万葉集」展の時にも神田さんは立山と雷鳥を描きましたが、今回はさらにグレードアップされています。山に積もっている雪は、半透明の白い和紙を使用。山肌の青い色との対比が際立っています。雷鳥たちも丁寧に羽を描き込みました。清冽な空気の中でくつろぐ野鳥の親子の様子が目に見えるようです。
 作家ならではの体験に基づいた迫力のある、美しい山の風景だと思います。

(「山は呼んでいる」出展作品 2020. 6.17〜7.4 於:剪画アート&スペース)  
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