
“Thanks to Wheat” by Takako Chiba
パンをテーマにしようと決めた時に、ただ単に食卓を描くだけではなく、そこに見られる人々の生活や、パンが作られる工程、パンによって育まれる命なども表現されると面白いなぁと考えました。そのためにタイトルをただ単に「パン」ではなく、「–生命の糧–」という副題をつけたのです。
千葉さんのこの作品は、パンという食べ物をシンプルに描き、その手前に麦の穂をそよがせることによって、作品展のテーマを象徴するような絵柄になっています。しかもとても剪画らしい表現で…。黒の地色が多く使われていますが、左の上方から光が差しているのも、時間の移り変わりを感じさせる美しい表現です。
麦の穂がそよぐのを眺めながら、生命を育んでいくパンに想いを馳せたくなる…そんな作品だと思います。
(「パン –生命の糧–」出展作品 202.10.9〜11.2 於:剪画アート&スペース)