October 28, 2020

私の至福の時

私の至福の時戸張 禮子 作 210×285mm

 作者である戸張さんにとっての大切なお茶時間は、ティーポットで入れた紅茶を飲みながら、ひとり読書にふける時間だそうです。絵の背景とほんの上に描かれている人物推理小説の内容であるロンドン塔と探偵。彼女が没入している世界が描かれています。お茶時間の風景だけを描くのではなく、その時の作者の内面が表現されているのが、とても面白いと思います。
 輪郭にムラ染の和紙を使っていて茶色や青い色味がところどころに出ているのが幻想的で、かつ画面全体に深みを与えました。背景が少し暗めな青であることも、この絵の世界観にマッチ。全体にミステリアスな雰囲気が漂っています。
 自分ならではの世界を画面に表現できる…それは絵の巧緻よりも描き手にとって大切なことだと思います。

(「Tea Time」出展作品 2020. 10.14〜10.31 於:剪画アート&スペース