May 12, 2019

常夏

常夏神田 いずみ 作 280×200mm

立山(たちやま)に 降り置ける雪を 常夏(とこなつ)に 見れども飽かず 神(かむ)からならし
立山に降り積もった雪を夏中見ていても飽きない。神山の名にそむかないことよ。
大伴家持
(万葉集 全訳注原文付 講談社文庫 中西進著 より抜粋)

万葉集の編者である大伴家持は越中国(富山県)の国守として5年間赴任していました。家持はここで立山や海岸、寺社など沢山の句を詠んでいます。富山県出身の神田さんは、万葉集の中から家持が富山で詠んだ句を選び、そのワンシーンを剪画にしました。
 夏でも頂に雪を残した立山、そして古来から神の使いとしてみなされていた雷鳥。鮮やかな水色と白、そして黒い和紙を使ってキリリと描いています。時を超えて息づく自然の息吹を感じる力強い作品です。

(「万葉集」出展作品 2019. 5.8〜5.25 於:剪画アート&スペース