November 06, 2009

「古都の夜明け」

「古都の夜明け」大月 透 作 121×135mm

 小色紙の上に作られた小さな作品。背景の夜明けの色は布を使い、前景の塔は従来の剪画の技法で紙を切り抜いて描かれています。
 大月氏はここ数年古い布を利用し、それを切り抜いたり、柄をうまく利用して美しい作品を作り出す作業に没頭されています。この作品では、紙と布のとりあわせの違和感はなく、むしろ渋い色合いの空に浮かび上がる塔が引き立てられて、とりあわせの妙を感じさせるのです。大月氏の剪画作品の繊細でシャープな切り口と、布の柔らかな素材感は、お互いをうまく引き立て合うようです。
 布の柄は、自分で描く絵や彩色のように作者の思う通りに描かれているとは限りません。そのため、たくさんの布の中からマッチする箇所を選ぶのも大変だと思うのです。が一方、作者が思いもかけなかった色合いや世界感を提供してくれることもあるのでしょう。
 様々な異質な取り合わせを使って新しい世界を創出する…時間はかかりますが、それもまた、楽しい作業ではないかと思います。

(「干支と縁起物2010」出展作品 2009.10.24〜11.24 於:剪画アート&スペース


この記事へのトラックバックURL